利益が出ていない会社を見ると、社員のせいにされがちです
社員がもっと動けばいい。
営業が弱い。
現場の効率が悪い。
社長の管理が甘い。
外から見ると、そう見えることがあります。
でも、実際に会社の中へ入ると、逆のことが多いです。
利益が出ていない会社ほど、社員がものすごく真面目に働いている。
朝から問い合わせに返して、納期を調整して、在庫を確認して、原価を調べて、仕入先にも顧客にも気を遣う。急な依頼が来たら対応する。社長に聞かれたら資料も作る。
ずっと動いているのに、利益が残らない。
これはかなりしんどい状態です。
私は、こういう会社で最初に人を責めることはしません。
まず仕組みを見ます。
できる人に仕事が集まりすぎていないか
会社の中には、何でも知っている人がいます。
「あの人に聞けば分かる」
短期的には頼りになります。
でも、その状態が続くと危ないです。
その人しか過去価格を知らない。その人がいないと納期回答できない。その人だけが在庫の癖を分かっている。最後は全部社長に聞かないと決められない。
そうなると、できる人ほど仕事が増えます。
目の前の仕事で一日が終わるので、改善する時間がなくなる。後任に教える時間もなくなる。さらにその人へ仕事が集まる。
真面目な人ほど抱え込んでしまいます。
「担当者が遅い」で終わらせない
例えば、受発注が遅い会社があったとします。
担当者の処理が遅いように見えるかもしれません。
でも実際には、商品マスタが整っていない。価格表が何種類もある。仕入先ごとに条件が違う。在庫がすぐ分からない。顧客ごとの特別対応が多い。過去メールを毎回探している。社長確認が必要な条件も曖昧。
これなら、誰がやっても遅くなります。
それなのに「もっと早くやって」と言われたら、担当者は自分が悪いと思ってしまいます。
私は、ここが一番まずいと思っています。
会社の仕組みの悪さを、真面目な人が自分の能力不足だと思ってしまう。
その状態を長く続けてはいけません。
「もっと頑張る」は改善ではない
忙しい会社では、問題が起きるたびに誰かがカバーします。
確認を増やす。残業する。ベテランが間に入る。社長が最後に全部見る。
これで一日は乗り切れます。
でも、明日も同じことが起きます。
改善するなら、仕事そのものを分解します。
なぜ確認が必要なのか。なぜその人にしか分からないのか。なぜ原価がすぐ出ないのか。なぜ在庫が合わないのか。なぜ社長が全部決めるのか。
人ではなく、構造を見る。
ここから始めた方がいいです。
人を育てるなら、判断の型も渡す
「もっと考えて動いてほしい」という話もよく聞きます。
でも、考える材料や判断基準が何もない状態でそう言われても難しいです。
この仕事の目的は何か。どの数字を見るのか。どこまで自分で決めてよいのか。どこから相談するのか。
こういう型があると、人は動きやすくなります。
逆に、全部が暗黙知だと、結局ベテランか社長に聞くしかありません。
だから私は、人材育成と業務改善を別々には考えていません。
人が考えて動けるように仕事の型を作ることも、業務改善の一部です。
現場と数字を行き来する
現場だけ見ていても分からないことがあります。
数字だけ見ていても分からないことがあります。
現場で何が起きているかを見る。数字に落とす。利益や原価で確認する。数字で見えた問題を、また現場へ戻す。
この往復が必要です。
必要ならITを使う。AIを使う。自動化する。
でも、それは最後の話です。
先に見るのは、会社の中で人と仕事と数字がどう流れているかです。
真面目な人が報われる会社にしたい
社員が真面目に働いているのに給料が上がらない。
社長もずっと動いているのに利益が残らない。
現場は忙しいのに、会社として前に進んでいる感じがしない。
これは誰か一人の根性で解く問題ではありません。
会社の仕組みとして解くべき問題です。
頑張っている人の時間が、ただ消耗して終わるのではなく、利益や成長につながる状態を作る。
私は、それが業務改善の役割だと思っています。